テザーCEO、イラン関連取引の94%減少を強調し上院報告書に反論
米国上院報告書が指摘するテザー社の対応遅延
ステーブルコイン最大手USDTを発行するテザー(Tether)社を巡り、同社がイランの違法な金融ネットワーク(シャドーバンキング)を支援しているとする米国上院の報告書が発表された。
Senator Blumenthal’s "analysis" of Tether’s sanctions report misses that, since 2023, Tether froze on average 4 weeks prior to OFAC & NBCTF official sanction designation and for 99% of the times Tether froze the reported addresses before Chainalysis labelled them. Tether actions led to Iran-linked stablecoin volumes declining by 94%. The reality shows that Tether acts fast on new threats thanks to its law enforcement partnerships. @tether
— Paolo Ardoino 🤖 (@paoloardoino) October 19, 2026
ブルメンタール上院議員によるテザーの制裁報告書に対する「分析」では、2023年以降、テザーがOFACおよびNBCTFの公式制裁指定の平均4週間前に凍結を行っており、報告されたアドレスの99%についてチェーンアライシスが…
これに対し、同社のパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEO(最高経営責任者)はSNS上で強力に反論を展開し、自社の迅速な対応によって関連取引が激減したと主張している。
問題の発端となったのは、米国上院常設調査小委員会の民主党スタッフが2026年9月28日に公表した『Tethered to Terrorism(テロリズムと結びついたテザー)』と題する調査報告書だ。報告書では、2021年6月から2026年8月までの期間にイランやその代理勢力(ヒズボラやハマス等)に関与したとして制裁対象となった846個のウォレットを分析。その結果、全体の84%において取引にUSDTが主用されており、軍事装備品の調達やイラン中央銀行の資金移動に悪用されていたと結論付けた。
さらに報告書は、同社の資産凍結対応に“遅れ”があったと鋭く追及している。
ヒズボラ関連の事例:
2023年6月にイスラエル当局が指定した39個のアドレスのうち、同社が当初凍結したのは5個のみで、残り34個は2024年3月まで放置され、その間に3,460万ドル(約54.7億円)以上のUSDTが流出したとされる。
未凍結の資金流入:
2025年春に特定業者へ5億7,500万ドル(約910億円)相当のUSDTが流入した際も対応がなされず、公開されたイラン中央銀行関連アドレスのブロックも遅れたと指摘。
この結果を受け、小委員会の筆頭委員であるリチャード・ブルーメンソール(Richard Blumenthal)上院議員は財務省や司法省に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反などの疑いで同社を調査するよう要請した。
テザー社CEOの反論と94%減少の主張
こうした非難に対し、アルドイノCEOはXで上院の「分析」に重大な事実誤認があると真っ向から反論しており、以下の主張をしている。
公的機関に先駆けた事前凍結:
2023年以降、同社はOFAC(米国財務省外国資産管理局)やイスラエル当局が制裁対象として正式発表する平均4週間前に自主的なアカウント凍結を行っている。
民間の分析機関を上回るスピード:
ブロックチェーン分析大手Chainalysis(チェイナリシス)がラベル付けを行う前に、99%のケースで先回りして凍結を実施。
実績としての取引減少:
法執行機関との強固な連携により、イランに関連するステーブルコインの取引量を94%減少させた。
なお、この94%減少という数値に関しては、対象期間や比較基準、対象がUSDT単体なのか業界全体なのかといった詳細なデータは公表されておらず、透明性を疑問視する声も一部に残されている。
大規模な資金凍結実績と深まる政治的議論
テザー社側は制裁履行への貢献を強調しており、2026年だけでもイラン関連のアドレスから約5億5,000万ドル(約870億円)の資金を凍結したと説明。米国当局の要請や協力に基づくものを含めると、これまでに累計49億ドル(約7,759億円)を超える不正資金の凍結に対応してきたとしている。
一方で、今回の問題は単なる仮想通貨の不正利用にとどまらず、米国内の政治的な対立構造にも波及し。ブルーメンソール議員は書簡の中で、新政権発足以降に暗号資産業界への規制や摘発が緩和傾向にある点や、閣僚と繋がりのある金融機関がテザー社株を保有し巨額の管理資産を扱っている背景にも言及した。
制裁逃れを防ぐための民間の自己防衛プロセスと、当局が求める厳格なコンプライアンス基準の間には未だ大きな隔たりが存在しており、ステーブルコインの規制姿勢を巡る議論は今後も混迷を極めそうだ。
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
こちらもいかがですか?
JPモルガン、JPMコインをイーサリアムに拡大し機関投資家向け送金を強化

金融庁がDeFi・DEXを優先審査対象に指定、デジタル金融研究会で規制のあり方を議論

マスターカード、AIエージェント向け決済サービスでアーリーアクセス開始
イーロン・マスク率いるスペースXの決算、保有ビットコインの評価額が前決算から750億円増
